男はつらいよ 寅次郎紅の花

言わずと知れた渥美清の「男はつらいよ」シリーズ最終作。
(本当のシリーズの最終作としては
男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花 特別篇」となるが
生前撮られた映画はこれが最後)
山田洋次監督は寅さんがこれが最後と知って知らずか、
シリーズ最後にして最高のキャストをもってきたと思う。
浅丘ルリ子の「リリー」と後藤久美子の「泉」で締めるとは、
誰もが納得のラストだと思う。


シリーズをある程度見てきたファンならわかると思うが、
この作品はちょっと異質だ。
まず寅さんの出番が少ない。
それに寅さんの笑顔が少ない。
これらを考えるとやはりそうとう大変だったのではないかと伺える。
他の作品ならラストでお決まりの定番
(例えばお正月の博の家で工場の仲間が集まっていたり、
吉岡秀隆が演じる満男が友達を裏切ったり、
寅さんがテキ屋をしながらエンディングをむかえる等)がまったくない。
これらを考えるとどちらにしても山田洋次監督は
この作品を最後と考えていたのではないのか、そう思える。


公開当時、寅さんとリリーはなぜ最後に結婚させなかったんだ!って、
ボク本人としては思ったりしたけど、
改めて見るとやっぱり寅さんは結婚しないのが寅さんであって、
結婚したのではフーテンではなくなってしまう。
そう考えると最高の終わり方だったのではないだろうか。


いつもなら笑いながら見終わってしまうのに、
この作品だけは涙を流してしまった。
これだけは見たいけど見たくない作品だった。
それだけに見終わった時は
「あぁ、終わってしまった」という気持ちが出てしまった。


渥美清が亡くなられて、もう12年になる。
それからというもの正月がつまらなくなってしまった感がある。



男はつらいよ 寅次郎紅の花 HDリマスター版 / 邦画